「まぁあの女がいてもいなくても俺がコイツを倒すことには変わりねぇ!」
軽やかなステップでマッドボールに近づきとりあえず一発ぶん殴ってみた。
大抵のマッドボールはこれで消滅する。が、今度の相手には攻撃が効いているのか効いてないのかも、はっきり言って見た目じゃ分からない。
と、攻撃を加えた箇所から黒い触手のようなものが伸びて巻きついて来ようとしてきた。
「なっ!?」
間一髪避けたがマッドボールから無数の触手のようなものが伸びて、次々襲いかかってきた。伸びてきた触手のようなものを釘バットで叩き切って応戦してるけどきりがない。叩き切った残骸は黒い煙りになって消えるが本体と繋がってる部分は元気よく襲いかかってくる。
「ちくしょっ!早々ピンチかぁ!?あの子は加勢に来ねぇのかよ!?」
このままではらちがあかないばかりか、やられてしまう。一か八かやってみるしかない。そう思って俺がとった行動は、突進。
「うおぉぉぉ!!」
迫力感溢れる雄叫びを発しながら、釘バットを振り回して触手のようなものを退けつつ本体に接近した。
決して気が狂ったわけじゃなく、押してだめなら引いてみる。の精神の如くに外が壊せないなら内部から壊そうと考えたのだ。しかし、マッドボールの中は未知の領域なわけでそこら辺が一か八か。うまく行くかいかないか。だが、迷っている場合でもなく。
このまま、やられるくらいならやれることを精一杯やるか。と、ほとんど直感的にマッドボール内部に突入を決めたのだ。
「おらぁぁぁ!!」
見事本体に目の前まで近づくと、力任せに殴り殴り殴り殴ってずたずたの穴を開けた。が、すぐさま穴が閉じて来たので軽く助走をつけただけで慌てて飛び込んだ。
中がどんな様子か想像さえしなかったがどんな想像をしていてもおそらく今と同じように驚いていただろう。
まず球体の中にいるといった感じではない。ドームの中のように閉鎖されている空間では無くて前も右も左も後ろ上も暗闇がどこまでも続いている。ただ、下だけは黒い砂が積もっていた。それこそ暗闇が続く限り砂も続いている。という具合に。
「砂?なんかの象徴か?」