寒気で目が覚める。
「ん…。」
頭の中は霧がかかっているみたいにぼやぼやしてて、考えるのが難しい。
だけど頑張って記憶をさかのぼる。
「…。」
あぁそうだ。と、思い出す。
俺はクロちゃんを狩るために学校に来て、それから戦って…
負けた。
のかな?
クロちゃんに囲まれて俺と詩織ちゃんは…。
「…!」
頭の中を電気がびりびり流れるような感覚。一気に目が覚める。
「詩織ちゃん!」
体を起こして辺りを見回す。
「あ…。」
彼女はすぐ隣に横になって目をつむっていた。
息は…
そう思い彼女のお腹を見ると、やんわりと動いていていた。
「良かった。」
息はしてる。
生きている証拠だ。
とりあえず2人とも無事で一安心だ。
「しっかしなぁ…。」
ウソみたいだ。あれだけおっかない詩織ちゃんが目の前で静かに眠ってるんだから。
それも可愛い寝顔で。
彼女の寝顔を見ていて頬をつついてみたくなるのは俺だけか?
自然と手が彼女の頬に近づく。
「ダメだってっ!」
俺は衝動をグッと堪えて詩織ちゃんから少し離れた。「さみぃな。」
今日も学校だし、ずっとこうしている訳にもいかない。詩織ちゃんを起こそう。
「詩織ちゃん。」
彼女は微動だにせず静かに寝息をたてている。
「詩織ちゃんっ!」
と、大きな声で呼び掛けてみるものの状態は変わらず、声をかけるぐらいじゃ起きそうに無い。
「意外と寝起きは悪いのな。」
少し抵抗があったが勇気を出して彼女の体を揺すり、声をかける。
しかし、それでも彼女は起きず、さすがに心配になった俺は彼女の顔を覗き込みながらよりいっそう強く体を揺り声をかけた。
「…ん…うぅん…。」
彼女は眠たそうな声をだしならがらゆっくりと目をあける。
「滝本…君…。」
「どっか痛むの!?」
詩織ちゃんは一呼吸置いて言った。
「…顔…近い…。」
「あぁ…うん。ごめん…。」
俺は下がってあぐらをかいた。