一人ブランコに揺られて間もなく詩織ちゃんが公園に現れた。
待ち合わせた時間より大分早い。
俺も詩織ちゃんもほぼ同時にお互いを発見し、遠目で見つめ会う。
「詩織ちゃーん。早いねー。」
「アンタもね。」
「何かあったのー?」
「…。」
詩織ちゃんは黙る。
私情には首を突っ込まれたく無いみたいだ。
俺は詩織ちゃんの曇り顔を見て、「なんかあったな。」と直感した。
俺はブランコから降り、詩織ちゃんに歩み寄る。
七分丈のジーンズに淡い黄色のTシャツ。胸元には英語の文字がプリントされている。
近くに寄ってみて分かったのだが、詩織ちゃんは剣道部で良く見かける、竹刀を入れるナイロン製のケースを持ってきていた。そのケースには肩に掛けて持ち運べる様に紐がついて、彼女はそれを右肩から斜め掛けしている。
「何かあったの?相談に乗るよ?」
詩織ちゃんの心をちょっとつついてみようと思ったのだ。
「別に…。」
「別に、って顔じゃ無いよ?」
詩織ちゃんはため息をつくと俺を睨む。
「アンタは今日何しに来たわけ!?」
俺は急変した詩織ちゃんに怯む。
「く、クロちゃん退治…です。」
「そう!正解!アタシの悩みに首を突っ込むために来たんじゃないでしょ!」
「はい。その通りです。」
「だったらさっさと行くわよ!時間は限られてるんだから!」
そう言い放つと詩織ちゃんは回れ右して、さっさと歩きだす。
俺は慌て詩織ちゃんを追いかけて、横に並んで歩いた。
ムスッとした表情の詩織ちゃんに笑顔で話しかける。
「今日の作戦は?」
「特に無いわ。いつも通りにやるだけ。」
「そっか。」
詩織ちゃんの口調からして機嫌を損ねてしまったのは明白だ。
こういう時は慌てず騒がずの触らぬ神に祟り無しだ。
俺は黙って詩織ちゃんの横を歩き続けた。
詩織ちゃんもまた行き先も言わずに歩き続ける。おそらく行き先何て決まって決まってないんだろう。
向こうから白いジャージに便所サンダルを履いた人が地面にサンダルを擦る音を立てながら犬を連れて歩いてくる。
外灯に照らされて、ぼんやりと浮かぶ姿は少しだけ不気味に見えた。
しかし。
ただの散歩。
別に不信な所は無い。
対象外。
そう思い、俺も詩織ちゃんも気に止めて無かった。
犬が低い声で鳴いているのも。
待ち合わせた時間より大分早い。
俺も詩織ちゃんもほぼ同時にお互いを発見し、遠目で見つめ会う。
「詩織ちゃーん。早いねー。」
「アンタもね。」
「何かあったのー?」
「…。」
詩織ちゃんは黙る。
私情には首を突っ込まれたく無いみたいだ。
俺は詩織ちゃんの曇り顔を見て、「なんかあったな。」と直感した。
俺はブランコから降り、詩織ちゃんに歩み寄る。
七分丈のジーンズに淡い黄色のTシャツ。胸元には英語の文字がプリントされている。
近くに寄ってみて分かったのだが、詩織ちゃんは剣道部で良く見かける、竹刀を入れるナイロン製のケースを持ってきていた。そのケースには肩に掛けて持ち運べる様に紐がついて、彼女はそれを右肩から斜め掛けしている。
「何かあったの?相談に乗るよ?」
詩織ちゃんの心をちょっとつついてみようと思ったのだ。
「別に…。」
「別に、って顔じゃ無いよ?」
詩織ちゃんはため息をつくと俺を睨む。
「アンタは今日何しに来たわけ!?」
俺は急変した詩織ちゃんに怯む。
「く、クロちゃん退治…です。」
「そう!正解!アタシの悩みに首を突っ込むために来たんじゃないでしょ!」
「はい。その通りです。」
「だったらさっさと行くわよ!時間は限られてるんだから!」
そう言い放つと詩織ちゃんは回れ右して、さっさと歩きだす。
俺は慌て詩織ちゃんを追いかけて、横に並んで歩いた。
ムスッとした表情の詩織ちゃんに笑顔で話しかける。
「今日の作戦は?」
「特に無いわ。いつも通りにやるだけ。」
「そっか。」
詩織ちゃんの口調からして機嫌を損ねてしまったのは明白だ。
こういう時は慌てず騒がずの触らぬ神に祟り無しだ。
俺は黙って詩織ちゃんの横を歩き続けた。
詩織ちゃんもまた行き先も言わずに歩き続ける。おそらく行き先何て決まって決まってないんだろう。
向こうから白いジャージに便所サンダルを履いた人が地面にサンダルを擦る音を立てながら犬を連れて歩いてくる。
外灯に照らされて、ぼんやりと浮かぶ姿は少しだけ不気味に見えた。
しかし。
ただの散歩。
別に不信な所は無い。
対象外。
そう思い、俺も詩織ちゃんも気に止めて無かった。
犬が低い声で鳴いているのも。

