家から通うには遠い。
それが理由で寮の一室を借りている。
木造二階建ての六畳一間。この二階の窓の下では朝早くから部活に向かう数人の高校生がせっせと歩いている。
いつもより30分早く目が覚めた俺は昨日の詩織ちゃんとの出来事が夢じゃなかったのかと心配になっていた。
頬っぺたをつねっとくべきだったか?
小さなコタツテーブルの上に置いてある鏡を見つめながらそう思う。
「夢じゃ無きゃいいけど…。」
*
遅刻ぎりぎりで廊下を疾走し、教室に向かって歩く担任の横をすり抜ける。
「よっちゃん!おはよっ!」
陽一先生に挨拶。
「滝本ぉー。最近朝のダッシュが日課になってるな。」
俺は教室の戸に手をかけたところで振り返る。
「この方が目ぇ覚めるし。」
「遅刻じゃ無いから良いけどな。いや本当は良くないけど。」
俺は何も言わずに左手を上げて返事をすると教室の戸を開けて、すぐ近くの自分の席にどかっ!っと腰をおろす。
すぐによっちゃんが教室の前の戸を開けて入ってくる。
「今日は遅刻いるか?」
出席をとるのがめんどうなよっちゃんは俺達に聞く。
すると大体はクラスのやかましい女子が答える。
おそらく今日も…。
「陽一!堂本君が居ないっぽい。」
ほら。やっぱりね。
よっちゃんはまだ若いしサッカー部の顧問だし、カッコいいし、何より他の先生と違う。頼れるし、他の先生には答えなくてもよっちゃんになら答える。俺達とおんなじ高さで物事を見てくれる。用は男女共に大人気って事だ。
「堂本…。そう?連絡来てないんだよな。遅刻かな?教室のどっかに隠れてないよな?」
よっちゃんはそう言いながら出席簿に書き込んだ。
窓際の堂本の席を見るとヤツの姿は無い。
堂本が休むのは珍しいと言えば珍しい。俺の記憶が間違って無ければ、二年生に進級して初めての休みだ。見舞いまでは行かないまでも、一年から堂本とはツルんでるから気にはなるし、メールくらいは送ってやるか。
「おーい!滝本。人が話してる時は携帯閉じとけって。他の先生に没収された時は知らねぇぞ?」
よっちゃんの声にハッとして顔を上げる。
「よっちゃんゴメン!」
よっちゃんは首を横に振る。
「…なさい。」
よっちゃんは黙って頷く。
それが理由で寮の一室を借りている。
木造二階建ての六畳一間。この二階の窓の下では朝早くから部活に向かう数人の高校生がせっせと歩いている。
いつもより30分早く目が覚めた俺は昨日の詩織ちゃんとの出来事が夢じゃなかったのかと心配になっていた。
頬っぺたをつねっとくべきだったか?
小さなコタツテーブルの上に置いてある鏡を見つめながらそう思う。
「夢じゃ無きゃいいけど…。」
*
遅刻ぎりぎりで廊下を疾走し、教室に向かって歩く担任の横をすり抜ける。
「よっちゃん!おはよっ!」
陽一先生に挨拶。
「滝本ぉー。最近朝のダッシュが日課になってるな。」
俺は教室の戸に手をかけたところで振り返る。
「この方が目ぇ覚めるし。」
「遅刻じゃ無いから良いけどな。いや本当は良くないけど。」
俺は何も言わずに左手を上げて返事をすると教室の戸を開けて、すぐ近くの自分の席にどかっ!っと腰をおろす。
すぐによっちゃんが教室の前の戸を開けて入ってくる。
「今日は遅刻いるか?」
出席をとるのがめんどうなよっちゃんは俺達に聞く。
すると大体はクラスのやかましい女子が答える。
おそらく今日も…。
「陽一!堂本君が居ないっぽい。」
ほら。やっぱりね。
よっちゃんはまだ若いしサッカー部の顧問だし、カッコいいし、何より他の先生と違う。頼れるし、他の先生には答えなくてもよっちゃんになら答える。俺達とおんなじ高さで物事を見てくれる。用は男女共に大人気って事だ。
「堂本…。そう?連絡来てないんだよな。遅刻かな?教室のどっかに隠れてないよな?」
よっちゃんはそう言いながら出席簿に書き込んだ。
窓際の堂本の席を見るとヤツの姿は無い。
堂本が休むのは珍しいと言えば珍しい。俺の記憶が間違って無ければ、二年生に進級して初めての休みだ。見舞いまでは行かないまでも、一年から堂本とはツルんでるから気にはなるし、メールくらいは送ってやるか。
「おーい!滝本。人が話してる時は携帯閉じとけって。他の先生に没収された時は知らねぇぞ?」
よっちゃんの声にハッとして顔を上げる。
「よっちゃんゴメン!」
よっちゃんは首を横に振る。
「…なさい。」
よっちゃんは黙って頷く。

