詩織ちゃんをなんとか納得させようとした俺は頭からありったけの言葉を絞り出して詩織ちゃんにぶつける。
「それにさ、あのままだったら俺、頭からバックリ食べられて死んでたし。つーことは命を救われたってことじゃん。男としてこの恩は絶対返さなきゃいけないと思うだよね。そうじゃないと筋が通ってないって言うか。男としてさ!」
詩織ちゃんはうつ向いたまま、ぼそりと言う。
「死にたいの?」
俺はその言葉に怯み、口ごもる。
「答えが無いってことは、これでもう話しは終わりね。」
詩織ちゃんは席を立つ。
「そんな!待ってよ!」
詩織ちゃんは出入り口に向かって歩きながら一人ごとの様に言う。
「九時に昨日の公園で待ってるから。」
「へ?」
詩織ちゃんは店のドアを半分開けて立ち止まり、振り返って俺の顔を見る。
「アタシにお礼したいんでしょ?」
俺は思わず立ち上がる。
「是非!」