…心臓に悪いって。
こんな端正な顔…。
間近で見てる自信がない。
「機械音怖がってるところ、他の患者さんやスタッフに見られちゃうよ?」
うっ…。
それは恥ずかしい。
見られたくないに決まってる。
「…お願いします」
結局お言葉に甘えることにした。
この先生になら機械音怖がってることバレてるしね。
「じゃ、明日の19時ね。ところで今日はここまでどうやって来たの?」
明日の予約覧の1番下にあたしの名前を書き加えながら先生が尋ねてきた。
きれいな字。
あたしが書いた『築山 理子』と全然違う。
「歩きです」
「家遠いの?」
書き終えた先生はノートを元の場所に戻す。
そんな1つ1つの動作にもなぜかドキドキしてしまう。
あたしおかしいんじゃない?
「いえ、そんなには…歩いて15分くらいです」
ただ、あたしの家の方面って民家もあまりないし、人気も少ないんだよね。
「いやでなければ送っていくよ?」
またまた先生は思いがけない言葉を口にした。

