「誠さん、あたしまだ17歳のこどもなんです。……そんなこと言われたら信じ込んで、都合のいいように思い込みますよ?」
“これから先”とか、未来を示唆する単語を使われたら。
あたしだって、誠さんとの未来を想像してしまう。
「いいよ。そのつもりで言ってるんだから」
誠さんはあっさりと言ってのけた。
…そのつもりって。
「僕はね、手に入れたものは手放さない主義なんだよ」
にっこりと微笑む誠さんは笑っているのに、なんだか怖い。
でも、そんな表情にさえときめくあたしはもう病気なのかも。
「…あたしが初めての彼女でもないクセに」
誠さんの言い方じゃ、これまでに付き合ってきた彼女さんたちも手放さないってことだもん。
「まぁ、そりゃぁね。この年だからそれなりに経験もあるしね。でも、自分から手に入れたいと思ったのは理子ちゃんが初めて」
涙を拭っていた手が後頭部に回って。
ぐいっと引き寄せられる。
一気に距離が近づく顔と顔。
「だから、手放さないと思ったのも理子ちゃんが初めて」
額と額をコツンとくっつけた体勢で誠さんははにかみながらそう言った。

