こんなこと言われたら女の人は誰でもすぐに誠さんに惚れちゃうよ。
心の中で思いながら誠さんを見つめた。
「ねぇ理子ちゃん」
もう無理。
こんな優しい声と眼差しをあたしだけに向けられたら。
せっかく我慢したのに、意味なくなっちゃうよ。
「…ふぅ、っ」
11年もあたしより長く生きてる誠さん。
絶対に付き合うのだって初めてじゃない。
こんなにかっこいいんだから、彼女がいて当たり前だと思う。
17年しか生きてないあたしにだって誠さんが付き合うのは初めてじゃないわけだし。
…キスまでだけど。
「…こんなこと言うのは理子ちゃんが初めてだよ」
それすら、あたしにとっては涙を増やす材料。
「うー…っ」
「出会って2日で、一目惚れだから言葉が信じきれないかもしれないけど」
誠さんは言葉を切って親指で涙をすくうように拭う。
「…理子ちゃんが僕にとって、27年生きてきた中で特別だって見てすぐにわかったよ。…これから先も理子ちゃん以上に特別と思える人に出会うことはないとも思う、っていうかない」
甘い、甘い言葉に眩暈がしそう。

