涙が出そうなのをこらえる。
こんなに泣きすぎたら嫌われちゃう気がして。
「どうしたの?」
下唇をかんでこらえてると、誠さんがすぐに気づく。
気づかなくていいのに…。
「…なんでも、ないです」
「なくないでしょ。泣きそうな顔して」
ふっと笑った誠さんがまだ使ってないゴム手袋を外した。
「僕たち、11歳の年の差があるんだよ」
ゴム手袋を外した手で目の下を撫でられる。
そうだった。
私服だと全然見えないけど、誠さんって27歳で、今年28歳なんだよね。
「これだけの年の差があって、付き合うんだから僕に対して思ったことはなんでも言って欲しいんだ」
真剣な眼差しにドキンと胸が高鳴る。
「…でも」
なんでも言ってたら、まだまだこどものあたしなんてすぐに飽きられちゃう。
だったら言わない方がいい。
「でもじゃない、言うの。11年長く生きてきたんだから理子ちゃん1人の言うことぐらい受け止めきれる自信はあるよ」
また、大きく心臓が跳ねた。

