「うおおおお、ありえない!今2分とか認めない!」


寝坊した。しかもいつも登校する時間の5分前とか!ありえない!
だから1分でご飯食べて、早めに仕上げてきた。
でも絶対間に合わない!むりだ!これ絶対むりだ!


「…何してんの」


自転車に乗って颯爽と現れたのはいつも毎日顔を合わせてる、見慣れた、


「そーた!」

「おまっ髪ぼっさぼさじゃん!」

「聡太後ろのせて!」

「はぁ!?」

「絶対間に合わないコレ!」

「お前なんか乗せたらタイヤパンクす」

「乗せろ」

「はいすいません」

ああ早いなー風がきもちいいなーてか2ケツばれたら怒られるなー
わたしヘルメットしてないしなー


―男女で2ケツとか、先生にバレたら怒られるどころの話じゃねェ。
絶対変な噂が立つ。しかもコイツとなんざ御免だ。
そしたらテンションが下がるどころの話じゃねえー 悪化したら不登校とか…まぁ、それはないか。


「ねーこうゆう時ってどこに手置けばいいの」

「ハァ!?」

「だから、手。このままじゃバランス取れなくて杏子さん死んじゃうよー」

「そんくらいで死なねえよ」

「やー頭はなんかおかしいし、肩はフラフラするし、腰かなー。腰は安定…するねー」

「!?」


いやいやいや、おかしいのはお前の頭なんじゃねえの。
腰、腰って!年頃の女子が言う言葉じゃねえよ!
安定するねーじゃねえんだよなんか変な気分に…
アレ、コレ、なんか俺が下みたいな…


「はいはいはい!がっこ!通り過ぎたじゃん馬鹿ー」

「あっ、すまん」


閉まりかけた校門を通り過ぎて、ギリギリ遅刻は免れた。
でも俺の心臓はまだ納まりきれてなくて顔は赤いし…いや、顔が赤いのは必死に漕いだからだ。多分。そーゆーことにしてもらおう