「あれ?」
私は首を傾げた。
高校の名前、ペンで塗りつぶされてる・・・
「お母さん、ここの高校のなま・・・」
「しかもね!今なら授業料,教材料,すべて無料!!」
私の言葉をわざとらしくさえぎって、お母さんが大声でそういった。
だけど、そんな事気にならなかった。
だってだって・・・
「無料!!!」
試験無し、授業料,教材料,全て無料なんて―――
そんなおいしい話ってありえる?!
私は即決した。
「ここの高校行くよ!」
―――後から後悔したって、時間は戻せない。
ああ、そっか。ちゃんとお母さんに高校の名前確認しておけばよかったんだ・・・
「男子高等学校?男子?だ、だんし?」
「バイバーイ!」と明るい笑顔で手を振って、
そそくさと車で去っていた母が憎たらしい。
なんだか鼻の奥がツーンとする・・・
