「は?誰だよ」
「誰でもいいだろ。まずその子離せって。」
口元だけでフッと笑たその目は、決して笑ってはいなかった。
「何王子様きどってんだよ?ああ?」
そのとき、男がようやく私の腕を離した。
掴まれた部分は、ジンジンと痛み、赤くなっていた。
「気取ってねぇよ、金髪ゴリラ。」
確実にケンカを売っているような台詞が、茶髪の彼の口から吐かれる。
そして、もちろん男もそれを買わないような奴じゃなかった。
・・・・・一瞬だった。
さっきまであんな大口叩いていた男は今、私の目の前で土下座をされられている。
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