DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~



「これが遺産?馬鹿な……こんなものが遺産だというのか !?」

「俺以外の人間じゃ手に入らないはずだ……それに、これじゃ奪い取る事もできない。クックックッ……アハハハハ………」

 腹を抱えて笑う千聖の胸ぐらを掴み、裕一が怒鳴る。

「笑うな!」

「クックックックッ……ハハハ……笑うなと言う方が無理だよ。フッフッフッ……あまりにもじいちゃんらしくて――」

 怒りに任せて千聖を殴り付ける。

 床に投げ出された千聖の頭を裕一が踏み付けようとした瞬間、駆け寄った未央が庇うように千聖にしがみついた。

「やめてぇえっ !! あなたは千聖の父親じゃないですか!なのにどうしてこんな酷い事!」

「君は私の話を聞いていなかったのかね?」

 裕一は動きを止めて、未央を見つめた。

「千聖と私は、全くの赤の他人だ」

「違うわ!だってあなたは千聖のお父さんだった。血の繋がりなんて無くたって、ちゃんとお父さんだったわ!でなきゃ千聖はここまで来なかった。宝のためじゃない。あなたとお母さんを殺した人達を、あなたが殺された理由を知るために千聖は石を集めたのよ。謎を解こうとしたのよ。あなたとお母さんを愛していたから。心から愛していたから。だから!」

 茶色の大きな瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。

 未央は一旦言葉を止めると、大きく息を吸い込んで叫ぶように続けた。

「愛情は、血の繋がりで生まれるものじゃない!そんなものじゃないっ!」

 私だって――

 と、未央は思った。

 そう、自分も今の父の本当の娘では無い。

 けれど今の父は、それを知っていながら可愛がってくれた。

 心から愛してくれた。

 だから愛情と血の繋がりは関係ないのだと。

 裕一は首を横に振った未央に、心なしか寂しげに微笑んだ。