左手を金庫の扉から僅かに浮かし、ギュッと握り締める。
(これが開いたら、俺はどうなる?未央は?)
例え取引に応じても、未央が無事帰れる保障はどこにもない。
最悪、二人とも――
それでも進むしかない。
最後の最後まで、諦めずに前へ踏み出すしかないのだ。
千聖は大きく息を吐くと、再び左手を扉に押し当てた。
「右………13」
カチッと音がして、ノブが動くようになる。
重たく分厚い扉が開く。
中には一通の封書が入っていた。
手にとって見る。
愛する千聖へ。
そう書かれた表書きは、確かに祖父の佐々木隆利の物だ。
千聖は封を切り、綺麗に折り畳まれた便箋を開いた。
黙ったまま目を通す。
「フッ……ハハハ……アハハハハ………じいちゃんらしいや。それにしても、人騒がせな事を考えたもんだ。ハハハハ……」
少しして大声で笑い出した千聖を、裕一は不思議そうに見つめた。
「なんだ?何が書かれていたのだ !? それに―― 遺産は何処だ !?」
駆け寄って金庫を覗き、中に何も無い事を確認すると、裕一は千聖の手から便箋を奪い取った。
そこにはこう書かれていた。
