「響は私の大切な友達だから。誰よりも大切な友達だから……」

「未央……」

「私の事なら大丈夫。だから―― 心配しないで」

 訴えるような未央の言葉に、響は何も言えず唇を噛んだ。

「聞いたかね?分かったら大人しくしているんだな」

 口元を歪めた響に、神部が微笑む。

 そして次の瞬間、その癖のある髪を湛える後頭部へ、ナイフを握った拳を振り下ろした。

「あ………」

 途端に目の前が真っ暗になる。

「彼に会ったら伝えてくれ。『飼い葉桶の底で待っている』と」

「響!響……響……」

「未……央………」

 未央の呼ぶ声を聞きながら、響はゆっくりとその場に崩れ落ちた。



…★……★……★…


☆NEXT☆

「響、どうしたんだ?」

「部屋に入れてくれよ」

「えっ―― こんな時間にか?未央はいないぞ。それにもう寝るとこ――」

「二人きりなら邪魔が入ら無くてちょうどいい。したいんだ」

「響……あ、でも、悪いけど俺そんな趣味無いから帰ってくれ」

「嫌だ。千聖、俺もう我慢できないんだ!」

「あ、響!」

「トイレ何処 !? 早く!」

「……最初からそう言えよ」


  MISSION 29
  ― 雨の夜の誓い ― へ続く。