「嘘じゃない」

「だって千聖、『ファーストキスは好きな人だった』って言ったじゃない」

「それは子供の頃の話しだ。確かに好きだったけど、愛とは違う。未央に対する燃えるようなこの気持ちとは違う」

 少し黙ってまた未央が口を開く。

「―― キザだね」

「変かな?でも思った事を言っただけだ」

 真剣な眼差しの千聖から目を逸らすと、未央は頬を赤く染めて千聖の胸にもたれた。

「変じゃないよ。だって私、胸がドキドキしてる。千聖が好きだからキザでも嬉しい」

「『キザでも』っていうのは余分だ」

「じゃあ―― 嬉しい」

「それでいい」

 微笑んで顔を近付ける。

「千聖、石の謎は?」

「その話しはまた今度。今は――」

 千聖はそう囁いて軽く口づけてから、ソファーから立ち上がり未央を抱き上げた。

 そのまま自分の部屋に向かう。

「千聖?」

 そしてベッドの上に未央を降ろし、抱え込むようにしてゆっくりと押し倒すと今度は長く口づけた。

 髪を撫でながら、腕の中の未央に囁く。

「このあいだ『その場の雰囲気で自然に―― って感じの方がいい』そう言ったろ?」

「え?―― あ……千聖……」

 途端に未央は真っ赤になった。

 そう言われれば、このあいだ勘違いしてそんな事を口走った気がする。

 でも――

「今の感じって、そう言う雰囲気だと思うんだ。だから今夜……」

 確かにそういう雰囲気だとは思う。

 でも――

「で、でも私まだ子供だし」

「おれは大人だ。何かあっても責任取れる」

「じゅ、十七だし」

「十七でも子供のいる人だって大勢いる」

「こ……子供……は可愛いよね。うん……可愛い………けど……」

 片手で自分のワイシャツのボタンを外しながら、千聖が顔を近付ける。

 吐息が熱い。

「未央、愛してるよ。だから――」