悩める高校生時代



びくんっ


奏恵は体が飛び上がるぐらいの衝撃を受けた。
心拍数が増えたと同時に、背筋にひやっと悪寒が走った。


バク、バク、バク、バク、


(何?いつからいたの?)


徐々に上昇してくる体温、言いきれない恐怖。
その二つが同時に身体中を駆け巡る。気持ち良いものではない。



「もう歌わねぇの?」



声の主が、だんだん距離を縮めてくる気配を感じた。
奏恵は冷静な判断が出来ず、慌てふためいた。


どうにか、顔だけは見られたくない。


その思いが強すぎたせいか、考えるよりも先に声が出た。










「わ、私はっ宇宙人であるっ!!」









近づく足音が止まった。
奏恵はさらに付け加える。


「だから、姿を見られたら……………困る…………」


奏恵は、これ程自分は馬鹿だと感じた事はない。




なんで、宇宙人?

いや、そもそも何で隠れようとしたんだっけ?

先生だと、怒られると思ったから?

でもそんな、宇宙人だなんて…………馬鹿だな、自分。
余計叱咤されるだろうに。



奏恵は相手の怒号、もしくは嘲笑されるのを待った。






「へぇ、大変だね」






「………?」

返ってきたのは意外にも肯定の言葉。
けれど本当に信じているとは思えない口調。


奏恵が呆然としていると、相手はまた口を開いた。



「明日も来るの、ここ?」