悩める高校生時代

奏恵は授業が終わると真っ先に教室を飛び出した。
いくら鈍感とは言えど、あの場にあのまま居て良いかどうかの判別ぐらい付く。

生徒に笑われた先生の何とも言えない顔を思い出し、奏恵は申し訳なさのあまり走った。
どこに行こうと思ったわけではない。とにかく一人になれるところを探して校内を放浪した。

そして最終的に辿り着いたのが、屋上への入り口の扉の前だった。

(……開いてるのかな)

試しにノブを握って回してみた。

―――ギィッ


鉄で作られた重そうなその扉は、いとも簡単に開いた。

奏恵は覗き込むように伺いながら、外に出た。


(涼しい………)


思わず奏恵の顔に微笑が漏れた。夏の生暖かくも心地いい風が奏恵を優しく撫でる。大きく腕を広げると、更に風を感じた。


「♪」


先程の出来事が悪い夢であったかのような安堵感。

そのまま歩き回った。