レッスンが終わると、おじさんは講師の先生とまた話していた。


「あいつ俺の息子って思わないで、びしびし鍛えてあげてね・・・」

ああ分かってるよって、先生もそう答えて、がっちり握手をしたあと、じゃあってみんなに手を振っておじさんは去って行った。



なんかその後姿が


凄くかっこいい




僕は思わず、おじさんの後を追って、声をかけた。

「ああレン君、ゴメンネ無理やりあいつに付き合ってくれてたみたいで・・・
お父さんに怒られたんだって?」


僕も適当なこといっちゃったから、しょうがないよっておじさんにもそう伝えた。


「君は入らないんだろ?
良かったよ。レン君がいると、あいつ甘えちゃうから・・・
そのほうが一人でがんばろうって気になるからさ。」


じゃあこれからコンサートのリハがあるからと言って、おじさんと別れた。



スタジオに戻ると、ビトは座り込んでちょっと落ち込んでいるようだった。

「ビト、大丈夫?」

そう声をかけたら、ちょっと疲れただけだよって、汗だくになりながら笑ってみせた。


「なんかキツかったけど、やっとやる気が出てきた。
パパがきてくれて良かったよ。」

もう帰る?って聞いたら、もうちょっと自主練してくって言った。


「レン、僕さ、ちゃんとやるよ。モモちゃんのためじゃなくてさ、自分の為に頑張ってみるよ・・・」

なんかそういったビトの姿が、さっきのおじさんに似ていて、凄くかっこよった。



わかったよと言って、奴の肩を叩き、僕は先に一人で帰ることにした。