「ビト、それ終わったらに僕の部屋にきて。」

そういって、僕は食べ終わったお皿を洗って、上の自分の部屋に行った。

机に向かって、昨日用意しておいたジイさんの名刺をだす。

試しに自分の携帯で一回かけてみたら、すぐに受付の人っぽい女の人が出て、ちょっとどきどきした。


「あの・・・えっと会長さんいますか?」

どちら様ってきかれて、父さんの名前を出したら、ああってすぐわかってくれた。


暫くして、例のジイさんが電話口に出た。



「ああ、レン君?連絡遅かったじゃない?やっとやる気になった?」

そういわれて、僕じゃないんですけどって、ちょっとドキドキしながら事情を話した。



「僕の友達で、入りたがってるこが居るんですけど、オーディション受けられませんか?
あの、松本のおじさんの息子のビトなんですけど・・・」

そこまで言ったら、ああ知ってるよって言われた。


「いいよ、一緒にきちゃいなよ!
そのかわり、レン君も一緒に来るんだよ。一回やってみれば、やる気になるかもよ!」


・・・なんかやっぱり、どうしても僕を入れたいみたいだな。

まんまとはめられて、僕も入れさせられちゃいそうだ。



「いつこれる?今日もレッスンあるから、これからきても良いよ!」

なんかジイさん、のりのりだ。



今日はもう遅くなっちゃうから、今週末はどうでしょうかって言ったら、じゃあその日でって言われて、時間も指定された。



電話を切った頃、やっとビトが僕の部屋までやってくる。


「今、会長さんに電話してみたよ。今週末一緒においでだって。」

ほんとにって、ビトは嬉しそうな顔をした。



「凄いね、ホント電話一本で、そんなのOKされちゃうんだ。」

よっぽどその人に、レンは気に入られてるのかなって、ビトは不思議そうな顔をした。