桐先輩はその言葉を聞くとホッとしたのかあたしの頭を優しく撫でてくれた。


自然と綻ぶ顔。


なんだか…お母さんやお父さんに頭を撫でてもらってるような感覚だ。


「あ…桐先輩ずりぃっすよー!! オレだってそーゆうことしてぇのに………」


いきなり魁迩がふて腐れた感じでそんなことを言ってきた。


ず…ずりぃって………。


ヤバい…嬉しいかも。




あたしがそんなことを考えていると桐先輩はあたしの側から離れて魁迩とじゃれあってる。


あたし…自分の気持ちにようやく気付いた。


桐先輩も大切な人には変わりないけどそれは友達とか兄弟感覚の"大切"なんだ。


それでいて魁迩は好きな人にたいして感じる"大切"。


時間がかかってようやく気づけた自分の気持ち。


今度は何があっても自分の気持ちを見失っちゃいけない。


見失って…過ちをおかして…また大切な誰かを傷つける、なんてことは絶対にしたらダメ。


だから…そんなことになる前にちゃんと自分の気持ちを伝えよう。


魁迩に『好き』だって。


そして桐先輩に『ごめんなさい』って…。