「布団ないから、
このタオルケット使ってください」
「は〜い」
結局、一泊することになってしまった…。
「いいね」
「なにが?」
「この部屋、無駄がなくていいね」
ぽつりと由井川さんは言った。
一瞬、冷たさがみえた。
「てゆうか、ユメちゃん、お腹空かない?」
「あたしに夕飯作れって?」
「いや、ボクがぜひとも
作らせていただきます。」
「当たり前です」
茶髪で頭の中までフワッとした男が殺風景なこの部屋を気に入るなんて不思議だ。
無駄がないって…
由井川さん自体が無駄多そうなのに。
「アタシの得意料理作っちゃ〜う」
「きもっ…何作るんですか?」
「あ〜!今、きもって言ったっしょ!」
「いいえ」
作っちゃ〜うと言った料理は
純和風なものばかり。
肉じゃが、豚汁、きんぴらごぼう、
ほうれん草のおひたし。
意外すぎる。
正体は田舎のお婆ちゃん?
「味、どう?」
「お母さんのより、おいしい」
「あははっ。それ最高の誉め言葉!」
…ちゃらんぽらんにみえるのに
なんか……イメージ変わるな。
お箸の持ち方、超綺麗。
育ちがいいのかもな…。
図々しいけど、気品があるし。
あれ…………
なんかあたし、
由井川さんのこと分析しすぎ?

