〔2○6号室〕
なんかなー。
なんだかなー。
嫌な予感。
とりあえず片付け、片付け。
ピーンポー〜ン
「はーい、どちらさま?」
ガチャ
「由井川です。」
(…ゲ。)
「……何か?」
「へへ。トイレかして?」
「…………………どうぞ」
ドタドタドタドタ…
ガチャ!バタンッ!
―――――
「スッキリ〜。
ありがと〜。」
「あ〜の。
外冷えますよね。
(今日、雪積もるからなあ)
よかったら、
部屋上がります?」
由井川さんの顔が
ぱあっと明るくなった。
「ホントにいいのっ?」
「え、はい。よければ」
「やったあ!」
…たいしたことしてないのに、
そんなに喜ばれるとびっくり。
「ありがと!イクラちゃん」
「井倉です。今、明らかに
下の名前っぽかったです」
「下の名前じゃないんだ?」
「下の名前はユメ」
「ユメ?
ユメ…かあ〜
うんうん、ぽいねっ」
「そうですか?
ユメのないやつだって
言われますけどね」
「そうなの?
ところで、ユメさん」
「はい?」
「お茶飲みたい」
「………」
こいつ図々しい。
「早く鍵こないかな…」
「ん?ユメちゃん、
なんか言ったあ〜?」

