そんなある日、私はとてもショックな話を聞いてしまった。


たまたまお弁当が無い若菜に付き合って、澪と3人で訪れた食堂で相席になった1年生と思わしき2人組の女子生徒。


その2人組の子たちは、一応内緒話ということでコソコソ話していたけれど、相席の私たちには丸聞こえだった。


「昨日ほんとびっくりしたよね〜」


「まさか芦屋先生と玉木先生がねぇ……」


と、2人の会話にピンポイントで先生たちの名前が出てきたので、思わずお弁当を食べる手を止める。


それは澪も若菜も一緒だったようで、私たち3人は顔を見合わせた。


若菜だけが面白そうにカレーライスを食べながらチラチラと後輩2人を見ている。


どうやらその後輩たちは、芦屋先生が担任のクラスの生徒のようだった。


「最初見間違いかと思ったもんね」


1人の髪の長い子の方が、ラーメンをすすりながら言うと、今度は隣のショートカットの活発そうな子がうなずいた。


「あの2人、出来てるって噂にはなってたけど、誰もいないからって放課後の教室であんなことしなくたっていいのにね」


「今日まともに芦屋先生の顔見れなかったんだけど」


「分かる〜!ボーッとしてるように見えるけど、一応男だったんだね」


と、2人はキャッキャと楽しそうに笑っていた。


教室であんなこと?
どんなこと?


一気に妄想が広がって、頭のてっぺんから爪先までビリビリと痺れた。


よりによって学校の中で何したの?


ショックと悲しさと、ちょっとだけ怒りが芽生えてしまって、私はしょんぼりとうつむいた。