「誤解?」


徳山先生は顔から笑みを消して芦屋先生を鋭い目つきで見つめた。


「誤解してたのは芦屋先生だけじゃないですか?誰も気に留めないですよ。そんなに吉澤さんが心配なら、毎日家まで送ればいい」


「えっ……」


芦屋先生は一瞬驚いた顔になり、そしてすべてを悟ったのか何かを考えているような顔に変わった。


きっと昨日の夜、2人で帰ったのを見られたのだと気がついたらしい。


「芦屋先生」


重い空気に耐えられなくて、私はおそるおそる芦屋先生に声をかけた。


「徳山先生が、昨日のことは黙っててくれるって言ってくれたんです。悪いのは全部私です」


「どうしてそうなるの?」


芦屋先生の顔が今度は戸惑ったような顔になる。


「だって、私が怪我したりしなければ先生が送るって言ったりしなかったですよね……。だから誤解の発端は私なんです」


私は何度も何度も昨日の自分を悔いた。


芦屋先生の車に乗らなければよかった。
そうしたら徳山先生に見られることもなかったし、付き合っていると誤解されることもなかったのに。


申し訳なくて芦屋先生の顔を見られなかった。