「先輩、落ち着きましたか?」
「うん、ごめんね。格好悪いとこ見せちゃって。」
恥ずかしげにあたしは言った。

「いえ、誰だって泣きたくなることくらいあります。」
予想外の返事が返ってきた。
沙衣ちゃんが泣くことってあるのかな・・・。
想像できないけど、あるんだろうな。

「先輩、どうしたんですか?」
「あたしね、」
さっきの出来事を全部話した。

「そうだったんですか、」
「うん、」
「辛かったですね、」
「うん、」
「泣いてください。俺の胸でよければ貸しますから。」
「沙衣ちゃんっ」
泣いて泣いて泣いた。

気づいたらもう外は真っ暗だった。
「送らなくて大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。ありがと!」
「話くらいなら、いつでも聞きますから。」
沙衣ちゃんは優しく頭を撫でてくれた。

―――沙衣ちゃん。
あたし、何度も沙衣ちゃんに救われたよ。
でも、その強さに頼りすぎてたんだ。
あの時、沙衣ちゃんの中の何かが
崩れていたなんて。