あれから、亜子は好きな人を
何度も何度も聞いてくる。
いいかげん、やめてほしい。

「高橋さゆかっ!好きな人教えろ!!」
「だから、いないって!」
いないということで通してる。
が、亜子は絶対に信じない。

「お願い!誰なの?」
「だーかーらー」
「もしかして、うちの彼氏?」
「ぎくっ・・・」

うっ、
早く切り返さなきゃ!

「そうなの?」
「そ、そんなわけないじゃん!」
ガターンッ

勢いのあまり、亜子の机を倒してしまった。

「ごっ、ごめん!」
「別にいいけどさあ・・・」
急いで教科書を拾う。
「好きなんでしょ?」
バサッ
動揺を隠し切れずに拾った教科書をまたも落とす。

あ~、ついにバレちゃったあ。
「そうなんだあ。」
すっごいなんか言われると思ったら
意外にあっさりした反応。

「ごめんね。」
え?
「亜子・・・?」
「彼女なんかになっちゃってごめん!」

亜子は必死に謝る。
あたしがずっと好きだったのを
知っているみたいに・・・。

「ううん。あたしこそ隠しててごめん。」
「うちら、秘密も共有したし、大事な友達になれるよね?」

あたしはにっこり微笑んだ。