ワンダー、フルカラー

家に帰宅をして食べ物を冷蔵庫へとしまい、洗濯物を部屋に取り込んで爽ちゃんと一緒に畳む…というのが最近の定番だ。
そしてこの後は大抵私が夕食を作るのだけれど……爽ちゃんは料理が苦手らしいからそれに関しては一切手伝いをしてはくれない。部屋で大人しく待機をして、出来上がったら私が呼びに行って…そして食べ終えて、汚くなった食器を彼が洗ってくださる。そういう仕組みで全てが回っている。

「そう言えば真夜、」
「ん?」

洗濯物を半分畳み終えて、ラストスパートへ差し掛かった頃、爽ちゃんがシワシワ気味になっていた父さんのワイシャツを広げつつ話し掛けてくる。

「以前貸してもらった漫画…あれをもう1度最初から読ませてもらいたいのですが。」
「え、」

その内容に驚いて、私は畳んでいる最中であった自分のTシャツをクシャリと擦ってしまった。
ま、まさか爽ちゃんが…男の子の爽ちゃんが、少年漫画ではなく少女漫画を読みたがるだなんて…!

「良いけど…」
「やった!」

貸すことを承諾した途端、珍しく拳を作って喜ぶ爽ちゃんが異様に怖かったけれど、私が貸した本を気に入ってくれたことが嬉しい私は、すぐにどうでも良くなった。

(爽ちゃんってば…)

少女漫画で満足しているみたいだから、もしかしたら少年漫画はいらないかもしれない。だけれど爽ちゃんだってたまには少年漫画を読みたくなるかもしれないし…うん。暫くは様子を見て、飽きてきているっぽかったら栗井くんが教えてくれた少年漫画を購入しよう。

「洗濯物を畳むのが終わったら早速貸してください。」
「うん、分かった。」
「楽しみにしてますね。」

そう言って微笑んだ爽ちゃんは、畳み終えた洗濯物をしまいに今いる部屋から出ていった。
余程楽しみらしく、その足取りはとても軽やかでした。