ワンダー、フルカラー


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臼田の話をされることは、それはもう真夜子の態度を見ればすぐに分かった。
いきなりの挙動不審。そして臼田がその場にいない…このパターンは今までの経験から言えば、彼氏と喧嘩して悩んでいる女そのものだ。
いやいや真夜子は臼田とは付き合っていないけれども!もし実は付き合っていましたとかいう展開になったら泣くわ俺!

「しっかしなぁ…」

さっきのあの顔は反則だろ。顔を真っ赤にさせてさ、目とか若干涙目だしさ…臼田はあんな真夜子を見たこととかあるのだろうか?…考えるのはやめておこう。何か惨めになってくるから。
頬にキスをしただけで顔が真っ赤になるし…真夜子のことを落とせそうな気がしてきた。それなりに攻めたら結構いけるんじゃないだろうか?
それにしても今歩いているこの道。子供の頃この地域で働いている父親に会いに来た時に良く使っていたよなぁ…で、何故かここを通る度に何故か暖かい気持ちになれて…未だにその理由というものが良く分からないけれど、気付いたらここに来ていたということがごくたまに起こる。
今日もそうだった。

「…あ、」

あの道から駅前に出てきた時、丁度駅の中から見覚えのある顔を発見した。
俺が大っ嫌いな臼田だ。
本人のすぐ近くに小走りで近付く途中で臼田は俺に気が付いて、いつも通りニコニコと笑いながら俺の名前を呼んでくる。

「クリームくん。」
「栗井だっつの。」

変なあだ名を付けやがって…お陰で最近学校で根津が面白そうに『クリーム』とか呼んでくるようになって、周りの奴らなんてそれに賛同して俺のことをクリームとか言ってくるようになったしな。最低な奴だよウスターソース!

「ソースに毛を生やしたような名前しやがって!」
「リアルな話をしないでください。髪の毛むしりますよ。」

それは困る。俺の父親後頭部が危ないから髪の毛は大事にしたい。
って、今は自分の髪の毛の心配をしている場合じゃないよな。

「臼田、お前真夜子を悲しませてんじゃねぇよ。」

臼田には言いたい事がたくさんある。
特に真夜子のことで。