ワンダー、フルカラー


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僕の携帯に連絡が入ったのは、昼休みに入ってすぐのことだった。
おじさんからのメールで、内容は『放課後おじいさんとおばあさんのお見舞いに行くけれど、一緒に行くか』というもの。勿論僕は即答して行くことを選んだ。
駅におじさんを車で待たせて、僕はその車へと乗り込んで。おじさんは何も言わずに病院へと車を走らせる。

(元気だろうか…)

ちょこちょこと僕の代わりにお見舞いに行ってくれているおじさん曰く、おじいさんは回復の兆しを見せているらしいが、おばあさんの方の呆けは逆に進行をしてしまっているとか。
正直のところ僕は彼らに会うのが怖い。忘れ去られた存在になってしまっていたらと思うと、何故だかイライラしてきてしまう。また真夜に当たってしまった。
『僕のお母さんですか?』って言ってしまった…心配して尋ねてくれたというのに、僕は最低だ。

「爽助くん、」

もう直病院に到着をするというところで、静かだったおじさんが突然口を開く。

「おじいさんの方は君のことを憶えていたけど、おばあさんの方は正直言って…君が生まれてしばらくぐらいのところまでしか憶えていないみたいでな。」
「え…」

おじさんの冗談だと最初は思った。しかし、彼の顔を見ると真剣そのもので…事実なのだろうと僕は悟る。

「今日はおじいさんの方だけに会いなさい。おばあさんは今度だ。」
「…はい。」

少しだけ。ほんの少しだけ悲しい気持ちになった。
僕ばかりが不幸に見えてくる。そんなことなんかないのに、どうしようもなく不幸な気持ちになってくる。

(僕が生まれてしばらく…)

おじさんがあうことを控えろと言っているくらいだ。きっとその頃のおばあさんに何かあった頃なのだろう。
一体何があったのだろうか…

「もう到着だ。準備しておけ。」
「はい…」

とにかく進まないと。そう思った。
でないと老夫婦に償えないから…