ワンダー、フルカラー

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「って言うわけで行ってきたんだよ、臼田くんとカラオケに。」
「よく行けるよねあんな不思議ちゃんと。」

休日明けの月曜日。昼休みに後ろの席にいる親友の、小倉さんに臼田くんとのカラオケについての報告をした。
小倉さんは1年の頃から同じクラスで、そして女子の中で唯一私が心を許せる相手だ。
さっぱりとした性格だから一緒にいると清清しい。

「臼田が男子と騒いでる姿とか見たことないからさ、てっきり私はおとなしいどこかのボンボンだと思ってた。」
「ボンボンって…」

いや、確かに見えなくもないけれども。実際は普通の家系だしな…って、そう言えば両親は海外で働いているって言っていたじゃないか!実はボンボンの可能性があるかもしれない!?

「是非マイクを持たせてみたいね。豹変する臼田とか生で見てみたいわ。」

信じていなさそうな顔をしながら、小倉さんは購買のパンを美味しそうに食べ続ける。
…あまり食いついてくれなかったか、この話題。

「それはさておきネズコ。」
「何?」

パンを平らげた小倉さんは、私の高校でのあだ名(女子限定)で私を呼ぶと、ニヤニヤと笑いながら、

「1つ屋根の下で暮らしてて襲われたりとかしてないの?」
「ぶぅっ!!?」

とんでもないことを言い出した。

「おおおお襲われるって!?」

飲んでいたジュースを少し口から溢してしまった…汚いな私。だけれどこれは私のせいではなくて、完全に小倉さんが悪いのでは?変なことを平気な顔で言ってくるから…!
まず『襲われる』という単語で思い浮かんだ出来事は、壁に叩き付けられたことだった。臼田くんが初めて黒いところを露にした時。私の反応を見た小倉さんは更にニヤけているけれど、多分それは勘違いの方の意味だと思っているからだ。