ワンダー、フルカラー


そして次の日。

「ふふ、やりましたよ真夜…フリータイムOKでした…!」
「よかったねぇ…」

早起きをさせられて家事を無理矢理やらされて、私達は家から出ると電車に乗って高校のある駅へと向かう。そして、駅から徒歩でカラオケ店まで歩いて、1時間も並んでから開店すると、受付を済ませて個室へと急いだ。
予約をしたのに個室へ急ぐ理由はいまいち分からない…臼田くんどんだけカラオケが好きなの?

「では早速歌いましょう。」

臼田くんは歌の表が出る機械とマイクを充電器から早速外し、そしてタッチペンで歌う歌を探し始める。

「真夜もほら、こっちを使って良いので早く選んでください。」
「はいはい…」

私に使っていない機械を差し出した臼田くんは、たったの5秒のやり取りで顔を上げたものの、すぐにまた下を向いて。ああでもないこうでもないとかブツブツと呟きながら最初の1曲を転送する。
内容を見てみると、

「まずは気合いを入れないとですね…コブシ的な。」
(演歌あああ!?)

とにかく高校生が歌うようなものではなかった。
えええ…本人は生き生きと歌っているけれどもさぁっていうかプロ並みに上手いと思うけれども!!台無しだ!!彼のあのポワポワな雰囲気が台無しだ!!
拳を握り力強く歌う臼田くんのその背後には荒波が見える気がする…何だろう、このマジカルは。

『そこ!!余所見しないでさっさと曲選ぶ!!』
「えええ!?」

しかもキャラが変わっている!!誰だコイツ!!臼田くんはどこへ消えた!?
っていうか、え?何?もしかして私これから数時間こんな彼と一緒にいないといけないの?

(無理だ…)

対応の仕方が分からないから絶対にこのノリに着いていけない。

(早く終われカラオケエエエ…!)

曲を適当に選んで歌いながら、何時間も祈り続けた。
普通、こういう場所に男と女1人ずつでやって来たら互いにドキドキするものではないのだろうか?
私達の場合、多分どころか180度違う。私の感じているドキドキというものは、別の意味に絶対に変わっている気がしてなりません。
臼田くんはマイクを握ると性格が変わるらしかった。