ワンダー、フルカラー


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「臼田って危ない奴な気がする。」
「ほぉ?」
「反応薄くね?」

忠告のつもりで言ってみたけれど、隣にいる根津の反応は薄すぎて、俺は拍子抜けをした。

「危ないって知ってたのかよ?」

それしか言い様がない…知っていたなら反応は薄いだろうし。
根津は信号が赤になった時に、俺の質問に答えてくれる。

「あの子は危ないんじゃねぇよ。」
「え?」
「普段は優しい良い子だしな?お前にだけ敵意を剥き出しているだけだろ。」

何だそれ…っていうツッコミを入れたいところだが、敢えて入れなかった。
確かに動物を拾ってさぁ飼おうっていう時に飼い主が現れて連れ去っていったら敵意ぐらい剥き出しになるよな…

「それに今爽助くんは辛い時期だからなぁ……」
「え?」

赤信号が青に変わり、動き出したその時にボソッと根津が呟いた。
腹黒そうな笑顔で俺から楽しそうに金を奪っていた臼田が辛い時期?どういう意味だ?
…触れない方が、良さそうだよな。根津の奴がまた黙り始めたし。

「ところで真夜子ってさ、彼氏いんの?」

臼田の話をやめて、今度は根津の娘の真夜子の話題に俺は切り換える。
根津との2人暮らしをしていたところから見て、真夜子は家庭的な女子と思われる…顔も悪くないし、性格も良いから狙っている奴はきっと多いことだろう。

「真夜子に彼氏ぃ?旦那の間違いじゃねぇの?」
「は?」

しかし根津の口から出てきた言葉は俺が聞いたことを上回る内容で。

「だ、旦那?」

彼氏ではなくて旦那って…っていうか意味は同じだろ。真夜子には今男がいるってことじゃないか。

「まぁ、まだ結ばれちゃあいないがな!」
「え、」

俺の気持ちとは裏腹に、根津はガハハと笑いながら問題発言をした。
まだくっついていないって…それって、

「結局男いないんじゃねぇか!」

もしかしてとは思う。このおっさん、俺のことをからかっているんじゃないか?笑っているくらいだし?

「いてもいなくても、真夜子は絶対お前に振り向かねぇと思うぞ?」

その話を聞いて思ったことは、下心が丸出しな質問を俺はしてしまったということだった。