ワンダー、フルカラー

「あなたの名前は『くりい むつき』でしょう?最初の4文字から抜粋させていただきました。」
「抜粋すんなよ!」

今まで俺の名前に『クリーム』が入っていたことを知られた事がない…俺が気付いたのは生まれてから7年目の時だ。父親と母親なんて俺に言われるまで全く気付いていなかったくらいだぞ?
なのにこの男…たったの数分で見破るとは…!

「因みに僕はウスターソースです。」
「娘はマヨネーズだぞー?」
「あはは父さんなんてネズミじゃねぇかよっつーかそのあだ名をチクんなし。」
「ゴフゥッ!!」

何だ何だこの家の住人は皆して…名前がヘンテコだと?カミングアウトした臼田も臼田だが、気にしているみたいな真夜子が何か可哀想に見えてくる。根津が殴られて床に倒れたのは爽快だが。

「で、ハナシを戻しますがクリームさん。」

臼田はクリームの部分を強調しながら、俺にインコの飼育の本と餌を差し出す。

「この本と餌、買い取ってください。」
「はぁ!?」

鳥かごの上にそれを乗せると、臼田は悪代官のような笑顔を向けて。ゆっくりと口を動かした。

「ぴょろ次郎はあなたのペットでしょう?僕はそれらをぴょろ次郎の為に買いました。なのでぴょろ次郎の為に是非買い取ってやってください。2000円です。」
「ぴょろ次郎じゃなくてハヤブサだっつの!!」
「因みにこんなこともあろうかと思って、本の方領収書を書いてもらったんです。受け取ってください。」
「本に挟むなあああ!!」

あ、悪魔だこの男…用意周到にも程がある。
しかも喋り方怖っ!眼力も半端ない!綺麗な顔が台無しだ!!

「クリームさん、」

残念な気持ちと恐ろしさに圧倒されていたら、臼田は肩に手を置いて、目を見開いて。

「買ってくれるまで帰しませんので。」
「悪魔かお前は!!」

力強く、威圧的に俺を脅した。
助けを求めようと真夜子を見てみた。けれど真夜子は端に行って笑顔で俺に手を振るだけで…アイツもまた臼田の被害者なのだろうかとか変なことを考えたが、そろそろ帰らなきゃまずいと思って俺は2000円を支払うと、ハヤブサと共に根津の家を後にする。

「覚えてろよ臼田の奴…!」

絶対にいつか泣かしてやる…!