臼田くんが拾ったインコは、本当にオスだった。
『ぴょろ次郎』とかいう名前を付けていたから気になって、休み時間に図書室で調べてみたら、『鼻が青いとオス』と書いてあって…教室に戻って臼田くんの肩に乗っていたぴょろ次郎を観察してみたら、鼻の色が青かったので奴はオスだ。間違いない。

「確か家の物置に鳥かごがありました。必要なのは餌だけです。」

おもちゃは今度ペットショップで購入するらしく、臼田くんはそこには触れなかった。
因みにぴょろ次郎の色は綺麗な青色だ。臼田くん曰くオパーリンという種類らしい。宝石のオパールから名付けられた名前だとか。
種類の名前は素敵なのに…名前はもの凄く残念。

「ではぴょろ次郎、これから電車に乗るのでこの箱の中に入っててください。」

臼田くんは肩にくっついたままのぴょろ次郎のお腹付近に指を近付けて、ぴょろ次郎がその指に乗ると、豆サイズの穴が開いた箱へぴょろ次郎を入れた。
本屋にいる時も実は箱の中に入れていたけど…外に出てからいちいち出す理由っていうのが全く分からない。逃げるかもしれないのに。

「それでは帰りましょう。」

ぴょろ次郎が入った箱を大事そうに抱えると、臼田くんは駅の中へと入っていった。
私はそんないろいろとちゃっかりとしている臼田くんに対して盛大に溜め息を吐いてから、彼の後を追い掛ける。

(本当に飼うのかなぁ…)

実はかなり不安だったりする。
うちの人間は1日中家にいる訳ではない。ぴょろ次郎に何かが起こってもすぐには対処が出来ないのだ。いない時に怪我とか病気をされたら絶対に助けられない。

「真夜が優しい人間で良かったです。おじいさんとおばあさんだったら動物を連れて帰った瞬間『捨ててきなさい』でしたからね。」
「そうなんですかぁー…」

いや、私だって出来ればそれをしたかったさ。臼田くんが『マヨネーズの方で呼ぶ』とかとんでもないことを言い出すから仕方なく…!