ワンダー、フルカラー

「とりあえず次も頑張ろうよ?送り続ければ当たるからさ、ねっ?」

私は精一杯の言葉で臼田くんを慰めた。

「シンデレラいるでしょ?あの人って『いつか』を信じて頑張って幸せを掴んだんだって。だから…臼田くんだってもっと根気良く頑張ればきっと、」

懸賞を当てられる…けれど、根拠とかは全くない。送り続ければ当たるというのは当たり前だけれど、それって難しいことだと思うから。最終的には確立と運の問題になってくるだろうし…
私はそれ以上の言葉が出てこなくて、途中で喋ることをやめた。
しかし臼田くんは、

「…もう嫌です。」
「え?」

もの凄く低い声で、私に珍しく弱音を吐き出して。口にすると六文字になるその挫折の言葉を言ってしまったことで、爆弾のように爆発のようなものが始まってしまった。

「『いつかきっと』っていう言葉は便利ですよね。だって、いつ来るか分かりませんし?すぐに待ち続けているものが来なくたって、いつかも分からないそのいつかにいつかそれがやって来る訳なのだから?毎日楽しいでしょうね、その考え。」

『いつか』という言葉が多すぎて彼の放つ言葉達を呑み込むことに少し時間が掛かったけれど、臼田くんはその『いつか』に

「飽きました。シンデレラごっこ。」

飽きたのだと。私に訴えてくる。

「待っていたって全く来ない。待っている人がどんな気持ちでいるか、全く分かっていない。お陰で現実逃避が癖になってしまいました。」

顔を上げた臼田くんのその表情は、まるで悪代官…笑顔を浮かべているものの、黒いものがちらほらと見え隠れしていらっしゃるような気がする。
ずっと一緒にいるというのに、こんな臼田くんを私は知らない。今までに見たことがない。
『夢でありますように』と願いながら、私はこっそりと脚の皮をつまんだ。そして、すぐにその答えが返って来て、一瞬にして不安になってしまう。
痛かった。これは現実だ。嘘なんかじゃないんだ…

「もう本当に嫌だ…僕なんかがいるから…」
「う、臼田くんとりあえず落ち着いて?」

嫌だ…弱気な臼田くんだなんて見ていられないよ。これ以上自分を罵ったら彼はキャラ崩壊…いや、心を崩壊し兼ねないだろうと思う。
私は臼田くんの肩を掴んで、玄関に座らせようとした。けれど、臼田くんは座ろうとはせずに踏ん張り続けて…変に力を入れたせいで少し疲れてしまった私はいきなり力を抜いて少しばかり休もうとする。
しかしそれがアダとなってしまって。その次の瞬間には、

「根津さん…」
「わ…!」

臼田くんに突然肩を掴まれては何故か壁に力強く叩きつけられてしまって。意外に臼田くんが入れた力が強かったが為に、遂には全く身動きが取れなくなってしまった。
まるで壁に張り付けられた気分…じゃなくて何が起きたのよこれ!