一週間なんて、あっという間だった。
鈴下社長と喫茶店で話をしてから、もう5日が過ぎようとしていた。

あれから一度だけ、社長から電話があった。
一週間の期限が切れる明後日までに、ここに電話をしてほしいと番号が伝えられた。
そのとき、社長が僕にくれた言葉がある。


――人は、変わることを怖がるもんだ。だからこそ、変わりたいと願う。


社長の言葉を、ずっと頭の中で繰り返している。
変わりたい。そのためには、やっぱり今は、背中を誰かに押してほしい。

「一人で決められるほど、俺は人間が出来てないんだよな。」

小さく呟いた言葉は、誰もいない自分の部屋の静けさの中に消えていった。