「…結奈」


少し体を離して触れられる髪。


見つめられる茶色がかった瞳。


吸い込まれる。


あたしは、もう元には戻れない。


切なく響くその声で名前を呼んでほしい。


「教授…あたし…」


「何も言うな。もう言葉じゃ追いつかないんだよ。結奈にはわかるだろ?」


頷くともう一度、教授はあたしを抱き締めてくれた。