「青山」


「はーつーせーおーきょーじゅ♪も一杯♪」


「ダメ。帰るぞ」


立てそうもないあたしを見て教授は溜め息をついた。


「ホラ、おぶってやるから」


「ハーイ♪」


玄関で何度も転びながらミュールを履いて初瀬尾教授におぶられた。


あぁ…。


いつか圭吾ともこんな事があったっけ…。


飲み過ぎておんぶしてくれた圭吾の温度があたしの中に蘇る。


暗い夜道にまん丸の月を見ながら初瀬尾教授の背中であたしは圭吾を想った。


涙が。


溢れてどうしようもなかった。