教授との融点

初瀬尾教授の部屋に戻ると、教授はあたしに寄り添い手の中のハンカチにくるまれたヒナを見てくれた。


やわらかそうな茶色がかった髪があたしの前髪に触れて、いつもの距離感がわからなくなる。


ダメ…。


ドキドキは気のせい。


「スズメだな、きっと」


「あ…そうです…か」


「まずは環境を整えよう」


教授はペットショップで買って来た発泡スチロールの小さな箱に使い捨てのカイロとタオルを数枚ひいて、あたしの手からスズメのヒナをうつして。


割りばしをカッターで削りヘラ状にして買ってきたねり餌を少しずつ水で溶かし、ヒナのくちばしへ持っていった。


ヒナはピーピー鳴きながら餌をついばむ。