教授との融点

「もしかして、ヒマ?」


「あ、ハイ。今のところは」


「じゃ、ちょっと早いけど薬品買いに行くのつき合ってくれる?」


「かまいませんけど」


「じゃ、車まわすから校門前で」


「ハイ」


初瀬尾教授は白衣を脱ぐと学生とあまり変わらないジーンズにTシャツ。


一緒に部屋を出て校門前へ向かうと、足元の芝生から小さな鳴き声が聞こえた。


「?」


草をかき分けて探すと、そこには鳥のヒナがピーピー鳴いていた。


「かわいそうに。巣から落っこちたんだね?」


バッグからハンカチを取り出しそっとくるんで巣を探したけど、すぐには見つかりそうになかった。


それに初瀬尾教授が待ってるから、急がなきゃならない。


ヒナを持ったまま校門前へ向かった。