「……はぁ」 また小さく溜息を吐くと綾子を見つめる。 綾子はまた鼻歌を歌いながら、ご機嫌に赤い空を見上げていた。 ……綾子と同じ様に黄昏の空を仰いでみる。 辺り一面、まるで血の様に赤く染まった空。 美しいと思う反面……何故か怖くなった。 まるであの赤い空に吸い込まれてしまう様な、徐々に暗くなる闇に飲み込まれてしまう様な奇妙な感覚に不安を覚えた。