「鈴村探偵事務所所長……鈴村 誠」 青年が小さく名刺の文字を呟くと、それにウンウンと深く頷いて返す。 「俺、探偵なんだ。っていっても普段は浮気調査とか、ペットの捜索ぐらいの仕事しかしてないんだけど」 そう言って笑うと、青年は訝しげな顔をして…… そっと胸倉を掴んでいた手を放した。 「ずいぶん若く見えるけど?」 少し離れた場所から茶髪の女の子が問いかける。 「今年で22」 そうそっけなく答えると、真っ直ぐに柏木瑞穂を見つめた。