「……あ、あなた、あの灰色の……」
事件当日の俺の姿を思い出したのか、彼女はカタカタと肩を震わせて更に一歩後ずさった。
それを見た友達の女の冷たい視線と、イケメン青年の今にも首を絞め殺されそうな殺気に慌てて首を横に振った。
「おいおいおい……言っとくけど俺は犯人じゃないぜ。驚かしちまったのは悪かったけど……あんたに話が聞きたかっただけなんだ」
そう言って真っ直ぐに彼女を見つめると、彼女は困った様にイケメン青年を見つめた。
「信用出来ないな」
「……まぁ、ごもっともで」
イケメン青年の言葉にケラケラと笑う。
「俺は……こんなん」
そう言ってポケットから少し汗で滲んでしまった名刺を取り出し、青年の目の前で振って見せる。