「……瑞穂!!」

急に聞こえた声に、ビクリと身を竦めた。

そっと視線を移すと、綾子と修ちゃんが青い顔をして私の肩を揺すっている。

……ゆ…め?

「どうしたの?急に動かなくなって」

綾子が心配そうに問いかける。

「……ご、ごめん。ちょっと、取り乱しちゃったね」

そう言って必死の作り笑いを見せると、二人はホッと息を吐いて私から手を離した。

「……今日は帰ろう。お店の人も困ってるし」

彼がそう言って優しく私の頭を撫でる。

彼に頭を撫でられながら辺りを見渡すと、周りのお客からの冷たい視線が突き刺さった。

急に居た堪れない気持ちになり彼に小さく頷いて返すと、彼が手早く会計を済ませ三人で逃げるように喫茶店を後にした。