「……そう言えば、来週花火大会じゃない?瑞穂は行くの?」

綾子の問いかけに、意味も無く触っていたストローから指を放した。

……花火大会。

家の近くには大きな湖があり、そこで毎年盛大な花火大会が行われる。

色取り取りの打ち上げ花火や、湖を分断する様に掛かる水面花火。

その素晴らしい花火の噂を聞き付け、かなり遠くから見に来る人もいるほどだ。

湖の周りには百件以上の屋台が並び、沢山の人が集まる夏の一大イベント。

……子供の頃はお母さんと見に行ったな。

今となっては遥か昔の様に感じる思い出が過り、小さく胸が痛み拳を握り締める。

「……できたら行きたいな」

私のその呟きに二人が小さく頷いた。

「一緒に行こう」

二人は綺麗にハモると、私の握ったままの手を……そっと握ってくれた。

優しい綾子。優しい修ちゃん。

……ああ、だから私は二人から離れられない。

私が辛い時、悲しい時は誰よりも早く気付いてくれる二人。

「……ありがと」

零れそうな涙を必死に堪え、二人に最高の笑顔を向ける。

それを見て二人も優しく笑ってくれた。