「……抱いてもいい?」
「うん」
彼の問いに短く答えると、そっと抱いていた赤ん坊を彼に手渡す。
「……うっわ。思ったよりも重い。ってか、やっぱり怖いかも」
そう言って彼はアワアワと慌てながらも、そっと赤ん坊を抱き上げた。
「何か壊れそう……あ、ヤバい。体の力、抜けてきた……って、ちょ!?起きちゃった!!」
急に目を開いた赤ん坊に、彼は私と赤ん坊を交互に見ながら慌てふためく。
それと同時に急に起こされた事を不服そうに、赤ん坊はぐずり始め次第に泣き始めてしまう。
「お、おい。泣くなよ~。よしよし。ほら~怖くないぞ~?」
慌てながら何とか赤ん坊をあやす彼の姿に、思わず笑みを浮かべる。
その瞬間、赤ん坊はぴたりと泣き止み、それから……ニッコリと笑った。
《あ~あ~》と小さな手を動かしながら笑みを浮かべる赤ん坊を、彼は優しい笑みを浮かべて見つめている。
「……ありがとう」
その私の小さな呟きに、彼は困った様に肩を竦めて見せる。
「お前達のありがとうは、もうお腹いっぱいだってば」
そう言って彼がクスクスと笑ったその瞬間、コンコンとノックの音が聞こえた。



