僕はいつでもキミの傍に


「……この子がお腹にいるって分かった時、本当は……怖かった。修ちゃんも……皆も凄く喜んでくれてて……勿論私も嬉しかった。でもね、それと同時に……凄く怖くなったの」

震える私の言葉を、彼は何も言わないまま静かに聞き続けている。

「私が……母親になんてなれるのだろうかって。修ちゃんと何度も考えて話し合って決断して、それで子供を望んだ筈なのに……いざ本当に命が宿っていると思ったら怖くなった。私の犯した罪は消えない。何の罪も無い貴方のお父さんを殺した事実は絶対に消えない。そんな私が……母親になってもいいのかって。……そんな事、ずっと考えてた」

「……うん。知ってる」

俯き語り続ける私に彼はそう短く答えると、悲しそうに笑って頷いた。

「修司も……だよな?」

その彼の問いにコクリと頷いて答えると、彼は静かに目を閉じて小さく息を吐いた。

「私達は《家族》ってどういうモノなのか……分からないの。だからこそ……《家族》を求めていたのかもしれない。でもね、《家族》を望む私は……一つの《家族》を壊してしまった。誠君……貴方の大切な《家族》を」

そう言ってギュッと赤ん坊を抱き締める。

「……私、今が幸せなの。修ちゃんが居て、この子が居て、大切な友達が居て……とても幸せ。だから……だから私は……」

そこまで言って口を噤むと、私の頬を静かに涙が伝って行く。

「自分を赦せない……だろ?」

その彼の言葉に涙を流したまま俯く顔を上げた。

すると彼は暫く私を見つめると、それから……ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。