僕はいつでもキミの傍に


「失礼しま~す」

そう気の抜けた声が掛り、それと同時に病室の扉が開かれる。

するとそこにはニヤリと不敵な笑みを浮かべた男が立っているのが見えた。

「よ!!おめでとう!!やっぱり男の子だって!?」

そう言って彼はドカドカと病室に入って来ると、ベッドに座ったままの私に近付いてきた。

「お前にしては随分早いな?いつも約束には遅れるくせに」

ベッドの隣に置かれている椅子に座った修ちゃんがそう言って彼……鈴村誠に笑い掛ける。

「ああ、そりゃ親友の御子息誕生には興味があるって事だ」

誠君はそう言ってニヤリと笑うと、手にした果物の詰まった籠をドンとテーブルに置く。

「これ、とりあえずの出産祝い。今、金欠でこれで許して。何かオイシイ仕事来たらまた何かお祝いするからさ」

「誠が金持ってる所なんて見た事無いけど。いつも金欠だから五百円貸してって言って来るのはどこの誰だったかな」

「うるせェな!たまにだろ……た・ま・に!!」

そう言って誠君は少し不機嫌そうに眉を顰めて見せると、私の抱いている赤ん坊へと視線を向けた。

「へぇ~小っさいな。ってか、サルみた……」

そこまで言って彼は慌てて口を押さえると、アハアハと困った様に笑って修ちゃんを振り返る。

すると修ちゃんは凍りつく様に冷たい笑みを浮かべたまま、刺す様に鋭い視線を誠君に向けていた。