「俺はもう……《終わって》しまった。俺に残されるのは《過去》……それもやがて薄れ、消えて行く。でも……君は違う」 男はそう言って私を真っ直ぐに見つめると、優しい笑みを浮かべた。 「君はまだ《終わって》いない。君には《未来》があり、そして君から《未来》が《始まる》……だからここに居てはいけないよ」 男はそう言って笑うと、立ち上がり……血の様に赤い空を見上げる。 彼は空を仰いだままそっと目を閉じると、それから静かに笑った。